先週は一時円が急反発する場面もあった。この一因は、中国株急落とともに、日銀早期利上げ観測とされる。後者、つまり日銀が利上げを急ぐということがあるなら、その裏には以下のようなこともあるのではないか。グローバリゼーション、世界経済の地球化が進む中で、金融政策の発動も連動性を強めている。とくに欧米の金融政策は、ECBがFRBに半年程度遅れるというのが基本になっている。その上で、これまでは逆の金融政策発動になったことが基本的にはない。
このように考えると、FRB利下げは、日欧の追加利上げを考える上でもきわめて重要だということになる。今のところFRB利下げは早くて8月頃の織り込みとなっている。もしも8月FRB利下げとなれば、上記の「逆方向の金融政策発動はない」という法則からすると、8月以降の日欧利上げはないということになる。
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今のところ、日銀追加利上げは、まだ7月参院選挙後との見方が多そうだが、米利下げ次第ではこれは難しくなりそうだ。もっとも今のところ、まだ米利下げも8月との見方は少なく、それより遅くなりそうとの見方になっているため、その意味では日欧の追加利上げもそれほど慌てる必要はないだろうが。
米利下げ次第では、その前に日欧は利上げを急ぐ必要が出てくる。そのため、日銀も5−7月利上げ説を少しずつ市場に浸透させようとしているのかもしれない。また、この逆方向の金融政策発動はないという法則からすると、ECB追加利上げも、米利下げ次第では2回以上はまず難しいということになる。ところで、ドル安が止まらない。それは、ドルの総合力を示す実効相場(メジャーインデックス)についてのことである。年初来安値更新が続く中で、20日にはついに79.2986まで下落、史上最安値(95年4月19日79.2173、2004年12月30日79.2670)がいよいよ目前に迫ってきた。
史上最安値更新ということになれば、それは事実上の「底割れ」ということであるが、そんなドル「底割れ」含みの緊張感が、ドル円にないのは当然だろう。118−119円程度の推移が続いているドル円の場合は、ドル安よりむしろ円安はまだ大丈夫かといったことが一般の関心だろう。
円は、ある意味でドルに連動した「ドル・ペッグ制」のようになっているため、全体的なドル「底割れ」含みの中でも対円だけはカヤの外といった構図になっているわけだ。
ただし、ドルの実効相場を見ると、基本的には2002年をピークに下落トレンドが続いてきた。例外は2005年一年間だけ。ではなぜ2005年だけ実効相場もドル高となったのか。
FRB利上げにくわえて、この2005年に象徴的だったのは米国内資金還流法だろう。米企業が国内に資金を還流させる場合の税制優遇措置が2005年に限って採用され、それに伴うドル買いが大量に発生したことが当時話題になった。
ドル実効相場を見ると、そんな2005年に米金利上昇とドル資金還流時限立法の影響でドル高になったというのが例外だった。その意味では、金利差でのドル高というのは、ドル円を見ていることによって過大評価されている懸念がある。円のドル・ペッグが終わる時、ドル安・円高もいよいよ要注意となるだろう。 13日のG7(7カ国財務相・中央銀行総裁会議)は、「無風」のまま終わったようになっている。これには、最近のG7における「主役」2人が今回欠席したことの影響も小さくなかっただろう。ただし、この2人の欠席の裏側をのぞいてみると、少し気になるところもある。4月G7を欠席した主役の一人は中国だ。中国は、日米欧先進国サークルであるG7では非メンバー国でありながら、ここ数年は実質的に主役のような存在となってきた。G7為替協議といえば、中国人民元問題が主要議題に位置付けられてきたからだ。
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そんな中国が、今回のG7には基本的に中央銀行である人民銀行総裁や財務大臣に相当する首脳クラスが欠席した。中国の政策当局者を招待して議論しても、実質的な効果がないことから、中国のG7出席ということに熱が冷めたということだろうか。
少し気になるのは、最近中国政府内での「対立」といった噂があったということ。人民元高を抑えるための米ドル買い介入によって巨額に蓄積された外貨準備の効率運用などをめぐり、政府と中央銀行の間に考え方のズレが生じ、その中で中央銀行首脳の解任、更迭、左遷といった噂も取り沙汰されていた。
これを踏まえてみると、G7が中国の招待に冷めたということ以上に、招待される予定の中国当局幹部の去就に「異変」が置きつつあるという可能性も気になる。中国の金融当局中枢に何らかの「異常事態」が発生しているとしたら、それはもちろん要注意だ。もう一人の今回G7を欠席した「主役」は独シュタインブリュック財務相だ。ドイツは、今年のサミット(先進国首脳会議)開催予定国。年明けG7は、サミット開催予定国がホストをつとめることを原則としているため、前回2月G7会合ではまさに主役を担った人物が、この4月G7は、「家族旅行のため」といった理由で欠席したわけだ。
この欠席理由を言葉どおり受け止める人はあまりないだろう。では真の理由は何か。一つの可能性として、米ポールソン財務長官との確執ということは注目される。
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4月13日付け日経金融新聞によると、2月G7で、執拗に円安批判を繰り返した「円バッシャー」の主役がこのシュタインブリュック財務相だったという。そしてこの独財務相は、中国が参加した会合でも円安批判を続けたため、人民元問題を取り上げたかったポールソン長官らは「不快感を覚えた」(同記事)という。
「(ポールソン)長官は円安に理解を示したというより、独の不手際に腹を立てたのだ」と同記事は解説していた。このようなことからすると、米国のお膝元であるワシントンで開かれた今回のG7会合を、独財務相が欠席したのは、「米独関係不仲」の影響も勘繰りたくなってしまう。
今回のG7は、ほとんど「無風」の状況で終わったようになっている。しかし、こんな具合に2人の主役欠席の裏側をのぞいて見ると、必ずしも問題が何もない「無風」ということではなく、むしろ危うさも秘めているということではないか。 13日におこなわれたG7の共同声明は、おもな点で前回2月声明からほとんど変わらなかった。ただ、とくにドル安とユーロ高について変わらなかったことは興味深いのではないか。そのように考える理由は、前回2月会合からの為替水準の比較で、もっとも変化したのはユーロドルだからだ。 2月G7直前のおもな為替水準は、ドル円121.74円、ユーロドル1.3010ドル、ユーロ円158.33円。それが、今回G7直前、4月12日は、ドル円119円、ユーロドル1.35ドル、ユーロ円160円。つまり、この2ヶ月で最も進んだのはドル安・ユーロ高だった。
しかも、ユーロドルは、1.36ドルというドル最安値・ユーロ最高値に急接近している。とくにドルは、総合力を示す実効相場で見ると、79.98ポイントとなり、史上最安値79.2ポイントが目前に迫ってきた。つまり「底割れ」寸前になっているわけだ。そのような中でもとくに言及がないのは興味深い。
ユーロ高・ドル安容認の背後には、米独通貨当局間の不仲の影響もあるのではないか。13日付けの一部報道によると、ポールソン米財務長官は、2月会合で円安批判を執拗に繰り返したシュタインブリュック独財務相に不快感を覚えたという。「長官は円安に理解を示したというより、独の不手際に腹を立てたのだ」 このように、ドルの総合力を示す実効相場が年初来安値更新を続けている。ドル円は、ドル高・円安圏での推移が続いているものの、それとドル全体の印象はかなり異なり、どちらかといえば対円でのドルが特殊な状況にあるといえそうだ。
前述のように、FRB算出のドル実効相場で、主要通貨を対象としたメジャー・インデックスは、13日には80ポイントを割り込んだ。これは2005年3月以来、つまりほぼ2年ぶりのことだ。
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また、メジャー・インデックスの最安値は、95年4月と2004年12月に記録した79.2ポイントだから、そんな最安値にもかなり急接近しているということになる。まさにドルは「崖っぷち」の綱渡りが続いているといえそうだ。
これは、ユーロドルが1.35ドルを超えて、対ユーロでのドル最安値である1.36ドルに接近している中では違和感のないものだ。ただ対円でのドルは、最安値79円からはるかに離れ、むしろここ数年のドル高値・円安値122円に近いところでの推移となっている。全体的にはドル安の中で、対円だけドル高になっているわけだ。
これは、ドル安と円安の同時進行で、クロス円が上がる構図になっているわけだが、別な見方をすると、ドル円の特殊さを示しているともいえる。ドル円が、ドル全体の動きから特殊なものになっていることは頭に入れておきたいところである。 G7が13日にワシントンで開かれる。前回2月の会合では、じつは欧州の「人民元バッシング」が行われた形跡があった。あれから2ヶ月たった、両者の環境はさらに悪化している可能性があるため、ちょっと気にしてみたいテーマではある。2月G7において、中国人民元についての共同声明における言及は、昨年9月シンガポールG7の、「中国の為替レートの一層の柔軟性が望ましい」といった表現から、「中国の実効為替レートが、変動することが望ましい」といった表現に変更された。
最も具体的な変更点は、「実効レート」とした部分だ。この背景として、欧州の不満が浮かび上がってくる。
人民元は、最近は対米ドルではじり高傾向が続いていた。しかし、約1年前に、米ドルとの連動性から複数の通貨と連動する通貨バスケット制度に移行したものの、実質的には米ドルとの連動が続いていた。この結果、昨年暮れにかけてのドル安・ユーロ高局面では、人民元安・ユーロ高となり、むしろユーロに対しては下落していたのである。
このように見ると、昨年9月の共同声明における「中国の為替レート」といった表現から、今回「中国の実効為替レート」といった具合に、通貨の総合力を示す「実効レート」に表現を修正したのは、人民元安・ユーロ高の動きに不満を抱いていた欧州の可能性が高いだろう。
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今回、欧州は事前に円安不満を相次ぎ表明、共同声明に円安懸念を盛り込むかが一部で注目されていた。結果的に円安懸念は盛り込まれなかったものの、「実効レート」といった表現で、人民元安・ユーロ高懸念の盛り込みには成功したということかもしれない。
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